FASHION

あの人が高ぶる、くつとカバン――井岡千浩

The Choice is Yours

ウエアよりも道具の側面が強いシューズやバッグは、使い勝手ももちろん大切だ。だけど、そこに美学や思い出を込めるとそんな実用品は替えの効かない唯一無二の存在となる。センスの良いあの人たちの心が弾むのは、どんなアイテムに触れたときなのか。納得や共感とフレッシュな驚きで満ちた彼らの”選択”に誰よりクールな彼らの偏愛と情熱を見る。

Photo:Kengo Shimizu text:Rui Konno

知識よりも、デザインに惹かれるかどうかが重要。自分のスタイルができて、そう思えるようになった

「よく、語れる服とかウンチクが好きな人っているじゃないですか? 僕は昔、まさにそれでした」。井岡さんはかつての自分をそう振り返る。「それって僕の場合、自信がなかったからなんだと思うんですよ。だけど、1000円のネルシャツを躊躇せずに着られるようになったくらいのころからかな、少しずつ自分のスタイルができてきたように感じられて」。そうして、他人や世間の作った価値観ではなく、自分の感性を信じてモノ選びをするようになった。そんな井岡さんがその際にもっとも重視していることは”単純にデザインに惹かれるかどうか”なのだという。「BLOHM」のシューズは、その代表例だ。「服屋で働いて、ALDENやCHURCH’Sとかの高級靴を扱いながらもスニーカーしか履いてこなかった僕でも、このローファーはしっくり来たんです」。”2フェイス”柄のキャンバスアッパーと軽やかな履き心地は、井岡さんのバックボーンにあるストリートカルチャーとも確かにリンクしている。そのシューズがフォトジェニックなのに対して、一方のバックパックはかなりシンプルだ。「もともと10代からCOMME des GARÇONSのバックパックを使ってたんですけど、10年使ってたらさすがにガタがきて。買い換えたのがこのバッグです」。公私ともに親交の深い中津川 吾郎さんの手掛ける「MIN-NANO」と「PORTER」とのコラボ。そこに惹かれた理由とは。「使いやすい配色で、安心のPORTER製、そして信頼しているゴローさんが作っているのが大きいです。これなら、また次の10年はこれでいけるだろうって。見栄えが気に入って、自分が使っている様子がイメージできる。今、自分が欲しいと思えるのはこんなアイテムなんです」。

「BLOHM」のシューズ
初めて買ったのが上の1足で、ブラックとパープルは「FUCKING AWESOME」とのコラボモデル。「スラックスにBLOHMを合わせて、インディペンデント系のTシャツを着るのが夏の自分のユニフォームです」

「MIN-NANO × PORTER」のバックパック
フロントにポケットを設けたシンプルな作りで、ボトム部分は同色のスウェード素材で切り替えが施されている。「海外のバイイングにもこれを背負っていくことが多いです。シューズが入る収納力も実用的です」

Name:井岡千浩 Job:SUPPLY/BACKDOOR ディレクター

Profile:1985年生まれ、千葉県出身。複数のセレクトショップをわたり歩いたのち、ECショップ「SUPPLY」と、実店舗の「BACKDOOR」を設立。現在同店ではニューヨークの写真家、グレースのポップアップを開催中。

※本ページは『warp MAGAZINE JAPAN』2018年4号に掲載された情報を再編集したものです。

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