FASHION

あの人が高ぶる、くつとカバン――宇佐美 陽平

The Choice is Yours

ウエアよりも道具の側面が強いシューズやバッグは、使い勝手ももちろん大切だ。だけど、そこに美学や思い出を込めるとそんな実用品は替えの効かない唯一無二の存在となる。センスの良いあの人たちの心が弾むのは、どんなアイテムに触れたときなのか。納得や共感とフレッシュな驚きで満ちた彼らの”選択”に誰よりクールな彼らの偏愛と情熱を見る。

Photo:Kengo Shimizu text:Rui Konno

大切にしたいと思えるものにひとつでも多く出会いたい

「実はこれ、全部で6つ持っているんです」。宇佐美さんがそう話しながら見せてくれたのは、「PORTER」のヘルメットバッグ。肩掛けもできるパッカブルタイプという実用的な作りで、宇佐美さんが気に入ったのも、やはりそんなところなのだそう。「パッカブルっていうとチープな作りのものも少なくないけど、これはミリタリーらしいギア感もある。容量も大きいし、荷物がないときはたためるから、撮影で使うために買いました」。荷物をパンパンに詰め込んで、同じものが並んでいる様子が好きで、宇佐美さんは複数購入したという。そして国産バッグの雄とともに持参した靴も、やはりフランスの名門シューメイカーの1足。「これは”HUNT DERBY”。ほとんどの工程が手作業というモデルです。昔、マルコム・マクラーレンがマウンテンハットにムートンジャケットでこのシューズを履いていて。当時はどこの靴かわからなかったけど、その後J.M. Westonだと知りました」。モデルはわかったが高額なため、以来10年間は二の足を踏み続けたそう。しかし、価格改定の知らせを聞き、値段が上がる前にとショップへ向かったのが購入の契機だった。「正直重いし、数年間履いていてもまだ馴染みきってはいないです。それに、ソールにスチールがついていて、床が大理石だと傷つくし、カンカンうるさいんです(笑)」と苦笑するが、かつての憧れに手が届いた高揚感は、その不便さにも勝るようだ。「どちらも僕にとっては大切なもの。そういうものに出会いたいという気持ちがいつも自分の中にはあるし、むしろ、大事なのはそこだけだと思っています」。スタイリストである以前に、ひとりの洒落者。そんな宇佐美さんの人間味が、その言葉にはにじんでいる。

「J.M. Weston」のシューズ “HUNT DERBY”
味の出たアッパーはチェスナッツブラウンのカーフレザーで、ノルヴェジアン製法を採用した、トラディショナルな1足。「作れる職人さんも減っているそうで、それも購入の後押しになりました」

「PORTER」のヘルメットバッグ
リップストップのナイロン素材を使った、軽くてタフな作り。これは2サイズ展開されるうちの、小さいほうのもの。「大小それぞれのサイズにカラバリが3色ずつあって、全部揃えてしまいました」

Name:宇佐美 陽平 Job:スタイリスト

Profile:1976年生まれ、東京都出身。先見性とバランス感に優れたスタイリングと、各媒体での活躍は周知のとおり。現在は3月末にオープンする、「rag&bone」のカフェのディレクションを手掛けている。

※本ページは『warp MAGAZINE JAPAN』2018年4号に掲載された情報を再編集したものです。

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