FASHION

あの人が高ぶる、くつとカバン――オカモトレイジ

The Choice is Yours

ウエアよりも道具の側面が強いシューズやバッグは、使い勝手ももちろん大切だ。だけど、そこに美学や思い出を込めるとそんな実用品は替えの効かない唯一無二の存在となる。センスの良いあの人たちの心が弾むのは、どんなアイテムに触れたときなのか。納得や共感とフレッシュな驚きで満ちた彼らの”選択”に誰よりクールな彼らの偏愛と情熱を見る。

Photo:Kengo Shimizu text:Rui Konno

ファッションなんて自分の中の3%くらいのもの

「え!?それ何!?って言われたい気持ちはありますよ。正直に言えば」。いつでも話すとひょうひょうとしていて、スマホをいじって見せてくれるお気に入りの画像や動画も、どこまで本気かわからないようなシュールなものばかり。そんなレイジさんだけに持ちものにも珍品が多いが、彼が本音を覗かせたのが冒頭のつぶやきだ。「例えばスニーカーなら、BALENCIAGAの”Triple S”やヴァージル・アブローとNIKEの”THE TEN:”とかももちろんチェックしてるし、何がバズっているかの情報もある程度持ってると思います。でも俺がそれを推しても面白くないじゃないですか」。そう自分を客観視して彼が持ってきたのは、ヒールに極太のバネがついた異形の靴。「このZ-COILはPHINGERINのコバくんから教えてもらいました。これは誰が見てもアガりますよね(笑)」。もう1点は、ボロボロになった「PORTER」のウエストバッグ。これも絶妙なナンセンスさを醸しているが、レイジさんは大マジメだ。「これはもう7年くらい前にいただいたもので、少し前まで365日着けていました。今でもツアーにこれひとつで行ったりしています。最近でこそ流行ってますけど、当時は、ウエストバッグ⁉︎ ウソでしょ(笑)、と言われましたね」。聞けば聞くほど、彼のもの選びは自由で楽しい。さぞファッションが好きなのかと思いきや、レイジさんは涼しい顔でこう話す。「1番好きなのは、今も昔もやっぱり音楽。それに比べたら服や靴なんて、多分自分の中の3%くらいのもの。でもだからこそ、こういうアティテュードで楽しめるんです」。そんなポジティブな考え方こそがその自由さの根幹にあるもので、オカモトレイジがエンターテイナーであり続ける所以なのだ。

写真上_「PORTER × museum neu」のウエストバッグ
もともと白っぽかったナイロンは酷使によって擦り切れ、すっかりくすんでいる。「でも、これ以上のウエストバッグに出会えないんです。このセンスを理解してくれなそうな人に会うときは、後ろに回して隠します(笑)」

 

写真下_「Z-COIL」のシューズ
アメリカ発の変り種は、足腰への負荷を和らげてくれるという健康的なプロダクト。「このぶっち切ってる感じがいいですよね。重さは結構あるけど、履いてみると、意外と歩きやすいんです」

Name:オカモトレイジ Job:OKAMOTO'S/ミュージシャン

Profile:1991年生まれ、東京都出身。4ピースロックバンド、OKAMOTO’Sのドラマーであり、ソロではDJとしても活躍。昨年ストリートの話題をさらったエキシビジョン、”YAGI”の続編を、「もしかしかたらやるかも」とのこと。

※本ページは『warp MAGAZINE JAPAN』2018年4号に掲載された情報を再編集したものです。

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