ハロー、エブリワン。クワガタムシとカブトムシのライバル関係が100年後の少年たちの心も夢中にさせると信じて……。今月も張り切っていきましょう!
warp読者のみなさん、そろそろ僕の連載にも馴染んできましたかね? 毎回ドキドキもんですけど自由なテーマでやらしてもうてる以上、僕、頑張るんやから! 未だ応援メッセージ、ファンレター届いてへんけど、僕負けへんで~! text:フジワラ(THE クルマ)
一騎当千! 名実ともに現代の傾奇者、弾き語り歌手”傷心の松”推参!
─「フジワラくん、僕これから街を歩くよ。それ、見に来ない?」と電話をくれた彼と落ち合ったのは夕暮れ迫り来るときだった。その待ち合わせ時刻からゆうに20分ほど過ぎたころ。カツカツとメリケンブーツのかかとを鳴らし、軍払い下げのコートを翻し、ケチなタバコを吸いながら前歯をぎらりと光らせる大阪最大級のミステリーボーイ、傷心の松が普段着で現れた。
俺 「よぉ、松」。
タバコを揉み消して声をかける。
松 「ハハッ、どんだけ年が明けてもあんたの顔はいつだって目立たないね。笑っちゃう、ハハッ」。
俺 「へっ、大将。変わらねえな」。
この素っ頓狂な男との再会は半年ぶり。まあそこいらじゃ「ひさしぶり」ってのが相場か。だが真にわかり合ってる男同志にとって、半年程度の会わない時間など、な~んてことはないのさ。繋ぎ止める必要なんてないのが心だろ。ってなもんよ。つって。俺たちは街を抜け、言葉少なにひとけのない溜め池に向かう。変哲もない風景を眺めるつかの間の静寂。少し風が出てきたころ、松は深呼吸をし、そっと呟いた。
松 「……ボク、唄うよ。フジワラくん、聴いてくれる?」。
俺 「……ん」。
目も合わせずに。
松は純白のギターケースからおもむろにEpiphoneを引っ張り出して、指をパチンと鳴らした。松変化。もう魔法使いみたい。爪弾いたのは少し湿りけのあるスリーコードのナンバー。
俺 「渋いね。誰の曲?」。って尋ねたならば、
松 「アドリブやで。タイトルを付けるなら、まあ……『ネズミ講のブルース』ってなもんかな。ハハッ」。
フルオーダーの偽ダイヤブローチ&偽ダイヤピアス(本人私物)
ちきしょう、いちいちかっこいい。
嗚呼、池の向こうに陽が沈む。まるでなにごともなかったように。……そうさ、今日はなにごともなかったのさ。全部冗談なのさ、それが傷心の松なんやね。
バッカにしやがって!