In The Streets of Indonesia

インドネシアとスケートボード。僕らには想像がつかないこのシーンで起こっていること。知れば知るほど、このストリートカルチャー、とりわけスケートボード文化というものに固定概念や先入観が不要なものだと実感する。現地では今、一体何が起こっているのか。フォトグラファーのMIYU FUKADAが彼らを追った記録。

前号で少しだけ紹介したアブサルの親友であるアリス。

 

父親の仕事のため幼少期を転々としながら過ごした彼が、中学、高校時代に住んでいたスマトラ島のパダンで出会ったのがアブサルだった。そこから彼らは一緒にスケボーを始めたようだ。

 

大学進学のためにジャワ島バンドゥンに引っ越した彼はマーケティングを専攻。スケートのために大学を中退したアブサルとは別の道を進み、しっかり卒業もした。イスラム教を忠実に信仰する家庭に生まれ育ったアリスは4人兄弟。兄はインドネシアでは数少ない脳外科医で、姉は統計学者でプログラマー、妹は化学関係の仕事をしていて、文句ナシの職歴を持った兄弟たちだ。一方、アリスはスケートに熱中しすぎて親にもよく心配されたという。それもあってか、いっときはスケートボードから離れ、3年ほどバリバリ仕事をしていた時期もあったそうだ。

 

しかし、友達にも会わずに働きづめた結果、友人たちとは疎遠になり、彼女も出て行ってしまった。そこで、自分の人生を見直し、必要なのはお金じゃなくスケートボードだと気付いたという。大学を卒業しただけあり英語も堪能なアリス。今はスケートの時間を大切にしつつ、仕事も2、3掛け持ちしている。インドネシアのお隣、オーストラリアへのVespaの輸出関係やアップサイクルのブランドのデザイン、工場との仲介として重要な役割を任されている。グラフィックデザインもお手のモノだ。ちなみにAries Cabe(アリス・チャべ)とはあだ名で、本名ではない。本名は家族と、限られた仲のよい友達しかしらないようだ。今の呼び名は、彼の星座「Aries = 牡羊座」と、インドネシア語で唐辛子を意味する “Cabe” からできている。

 

夢はハーレー(バイクのHarley-Davidson )を買うこと。ハーレーにまたがると自分が「男」になった気分になるからと、笑って答えた。