Everywhere I go

最近どこに行って、そこで何を感じたか。日常の心が動くふとした瞬間を見逃さずにシャッターを切り続けるフォトグラファーのMIYU FUKADAが、写真と文章で綴る備忘録的連載。 photo&text:Miyu Fukada

 

なぜか惹かれる音と時間

 

自分は、タトゥーは1つも入っていないのだけれど、なぜかタトゥーを入れるその現場に強く惹かれる。あの「ジジジジー」っとその場を離れてもしばらく頭の中で鳴り続ける音と、タトゥーが出来上がっていく過程がなんとも言えず好きなのだと思う。

 

ちょうど去年の夏前に、ふと思い立って友達のスケーター、ルーカスに連絡すると、ちょうど日本に戻ってきていたフィルマーのキミとお揃いのタトゥーを入れるという。カメラを持って家から40分ほどの目的地まで向かった(どこだったか場所は覚えていない)。

 

玄関は狭く靴だらけ、キッチンも放ったらかしな男臭のするその家には、イラストレーターでもあるジェレミーの作品が壁に所狭しと飾られていた。奥まで進むとベッドが1つ。その横から別の簡易ベッドを引っ張り出し、ルーカスのセッションが始まった。

 

数時間後、キミの太ももとルーカスの二の腕には、折れた板の下に”チョンボ”と書かれたお揃いのタトゥーが完成。なんでも「チョンボで何が悪い?! 」という意味が込められているのだそう。タトゥーが完成した時のルーカスの顔は、まるで子供のような笑顔だった。きっと私はそういう瞬間に立ち会うのが好きなんだと思う。