FASHION

あの人が高ぶる、くつとカバン――大柴裕介

The Choice is Yours

ウエアよりも道具の側面が強いシューズやバッグは、使い勝手ももちろん大切だ。だけど、そこに美学や思い出を込めるとそんな実用品は替えの効かない唯一無二の存在となる。センスの良いあの人たちの心が弾むのは、どんなアイテムに触れたときなのか。納得や共感とフレッシュな驚きで満ちた彼らの”選択”に誰よりクールな彼らの偏愛と情熱を見る。

Photo:Kengo Shimizu text:Rui Konno

スケートボードが途絶えず続いて欲しい。そんな思いで、仲間のものを身に着けている

「服もそうなんだけど、ここ最近は友達とかお世話になってる人のところにお金を落とすこと以外、ほとんどしてないかもしれません」。大柴さんは自身のワードローブを改めて見返してそうつぶやく。確かに、「VANS」のスニーカーはこれまでに何足履きつぶしてきたかわからない、体の一部のような存在だし、必要最低限の荷物だけを入れて運ぶナップサックは、スケートシーンでともにハングアウトする仲間のやっているショップのオリジナル。とは言え、もちろん偏愛の理由はそれだけではない。「このVANSは、素材がポイントで。オーリーしたとき、サイドもスウェードだとキャンバスに比べてヘタり(摩耗し)にくいんですよ。これは最近いただいたんですけど、昔、トニー・アルヴァのシグネチャーでこんな色のオールスウェードの”JAZZ”があった気がします。僕はスイッチスタンスができないから、いつも左足だけ減っていくんです(笑)」。こと「VANS」に関しては、好きなシューズほどスケートで酷使するため短命なのだそう。「ナップサックは、誰がこの絵を描いているのか知らなかったんですけど、聞くと何度かスケートしてるときやライヴハウスで会ったことがあった人だったんです。”ブラックパンサー”っていうモチーフも良いし、次に会ったらもっといろいろ話してみたいですね」。そうやって、彼の周りには魅力的な人とものが増えていく。「自分たちが本当に好きなことをやっていて、できるものは自分で作る。そんな人たちへのシンパシーが年々強まってる気がします。それでスケーターシーンが盛り上がれば俺も嬉しいです。その人がリアルなのかポーザーなのか判断する力をくれたのも、やっぱりスケートボードだったから」。

写真上_「FEEVER BUG」のナップサック
シンプルな生成りのコットンボディにプリントされたのは、YOUNG LIZARDというバンドで活躍するKTYLさんによるアートワーク。「自分の中では少数派の意識というか、アティテュードを感じるデザインです」

 

写真下_「VANS」のスニーカー “OLD SKOOL”
マスタードイエローのスウェード仕様。シューレースは3本ついていたが、大柴さんはオールドスクールヒップホップよろしくファットレースをチョイス。「あえて、”OLD SKOOL”ではなく”JAZZ”と呼びたいです」

Name:大柴裕介 Job:モデル/俳優/唄い手/絵描き

Profile:1975年生まれ、東京都出身。様々な雑誌でモデルを務める一方で、近年は俳優としても才覚を発揮。ハードコアパンクバンド、CROCODILE COXではヴォーカルを務め、スケートボードを愛する多彩な人物。

※本ページは『warp MAGAZINE JAPAN』2018年4号に掲載された情報を再編集したものです。

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