街で若い子のカバンや首元を見てると、最近やたらとカメラが目につく。スマホで全部済む時代のはずなのに、写ルンです、チェキ、そしてひと昔前のコンデジ——なぜかこのへんが揃って復権している。

写ルンです
写ルンですの再ブームはもう何年か続いてる話だ。一度シャッター切ったらやり直せない、現像するまで何が写ったか分からない、フラッシュもやたら派手に光る。普通に考えれば不便なんだが、この不便さこそが効いてる。ライブやフェスに持ち込んで、現像が上がるまでの数日をTikTokでネタにする、みたいな遊び方も普通になった。

instax mini Evo Cinema
そこに新しい燃料を投下したのが、富士フイルムが今年1月末に出したinstax mini Evo Cinemaだ。1965年の8mmカメラ「フジカシングル-8」を意識した縦持ちのボディに、15秒までの動画撮影機能を載せてきた。面白いのは、撮った動画をQRコード付きのチェキとしてプリントできること。紙を相手に渡して、スマホをかざせば動画が再生される。デジタルデータを物として手渡せる、という設計思想がそもそも他にない。
しかもこのカメラには「ジダイヤル」という機能があって、1960年代の8mmフィルム調から現代までを10時代分のエフェクトで切り替えられる。ダイヤルを回すだけで時代の質感がそのまま乗ってくる。要するにレトロを後加工じゃなくハードで体験させる発想だ。

RICOH GR IV
もう一つの流れが、いわゆるオールドコンデジ。2000年代後半から2010年代前半のデジカメが、いま中古市場で完全に値上がりしてる。ピントの甘さ、白飛び気味のフラッシュ、粗いノイズ——スマホが何年もかけて消してきた”アラ”が、若い世代には味として刺さってる。リコーのGRシリーズなんて新品も中古も入荷即完売で、欲しくても買えない人が出るレベル。
写ルンです、チェキ、コンデジ。三者三様だが、根っこは同じだと思う。
撮ってその場でSNSに上げる、というスマホ的なテンポから一回降りる感覚。現像を待つ、プリントを渡す、後で見返す——そういう時間の遅さが、ずっと急かされてきた世代にはむしろ気持ちいい。レトロが流行ってるんじゃなくて、急がなくていい撮り方が選ばれてる、というほうが近い。











