先輩と後輩。いい大人のお酒の飲み方、飲まれ方

先輩と後輩。いい大人のお酒の飲み方、飲まれ方 あー、今日は酒が飲みたい気分だ。でも、僕らが気になるあの人たちは、普段一体どうやってお酒を飲んでいるのだろう。歳を取るに連れて変わってきたお酒とのイイ付き合い方。着心の知れた同世代、先輩後輩の2 組が考える大人のお酒にまつわるハナシ。 photo:Shinpo Kimura

洋服作りでリンクする2人のお酒との上手な付き合い方
過去にはジョイントワークとしてコラボレートしたこともある「bal」と「ETHOS」。そんな両ブランドを手掛ける江田さんと池田さんの2人は、こうして腰を据えて飲み語るのは、意外と初らしい。だからこそとこんとん語ってもらいました、お酒の失敗談を含めた上手な付き合い方を。

 


 

江田龍介(以下、E) 2人でこうやってちゃんと飲むのは初めてだっけ? あ、学大で結果的に2人になって、近況報告的な感じで飲んだ日はあったね。

 

池田臣(以下、I) そうですね。2人ではそれが初めてですね。大体いつも4 、5人で飲むことが多いですからね。

 

E 展示会終わりの打ち上げとか共通の卸先さんや取引先の人が東京に来た時に突発的に行くことが多いんだよね。この前も最終的に12人くらいの大所帯で新宿飲み歩いたもんね。

 

I あー! あれすっごい楽しかったですよね。

 

E 最終的にゴールデン街のレモンサワー屋に行って、屋上でおじさんだらけで仕上がり過ぎちゃって、さすがにこのままだとヤバいってなってベッロベロで帰ったんだよね。

 

I そうですね。大体楽しいお酒の場所には江田さんと一緒にいるイメージですよね。あとはKEIさん(※1)とか幸平さん(※2)とかも。みなさんにはいろんなお店に連れて行ってもらっているので、本当に甘えさせてもらってます。

 

E まぁ俺らも昔から、いろんなお店にお世話になってるからね。うちの相方(※3)のブログ見ればわかると思うけど、もはや何屋かわからないもんね。いろんな人に「どこ目指してるんですか?」とか「職業はなんなんですか?」とか聞かれるもん(笑)。

 

I ですよね(笑)。でも江田さんとはお店の好みが違いますよね。

 

E 基本的にはお互い何でも好きなんだけど、彼はワインが好きだからイタリアンとかユーラシア系のおいしいお店をいろいろ知ってて、俺はどっちかっていうと赤提灯、居酒屋のお店が好きなんだよね。それでそれぞれのはまっているお店をKEIくんとか臣くんとか友人と飲みに行く時に提案している感じかな。今日お邪魔している「銀紋」もすごくお世話になっていて、落ち着くし、良いお店だから無理言ってお願いしたんだよね。

 

I ここすごくいい感じですよね~。あと、前に言ってた東葛西のお店も行ってみたいんですよね。

 

E あーあそこね。今度行こうよ。雰囲気も味も最高の、戦後から続いている老舗の焼きトン屋さんで、店構えも昭和の匂いが漂ってるんだけどちゃんと小綺麗にしてあるから風通しも良くて。またお店に立ってるおばちゃんとおっちゃんの人柄も良く、2人で50年粛々と切り盛りしてきた歴史と佇まいに風情を感じるんだよね。あと、老舗では定番の氷を使わないチューハイが炭酸も焼酎もキンキンに冷やしてあるスタイルで、それもまたお店の雰囲気にすごく合ってて、つるつる入っちゃう極上モノなんだよね。冗談抜きで3杯飲んだら終了します(笑)。

 

I それはヤバいですね(笑)。ベロベロといえば、最近人生で初めて路上寝しちゃったんですよ(笑)。

 

E えー珍しいね。いつ?

 

I ついこの間なんですけど、完全に記憶をなくしちゃって気が付いたら富ヶ谷の交差点近くで電柱にもたれながら寝ちゃってたんですよ。そしたら本当にたまたま友達が通りかかって、1時間くらい介抱してくれてたらしんですけど、いかんせん記憶がないからまったく覚えてなくて(笑)。

 

E もうそれは完全にプロだね。

 

I (笑)。で、なぜか起きたら下北沢の公園のベンチで寝てたんですよ(笑)。

 

E 方向的に一応は家に帰ろうとしてたんだね(笑)。

 

I おそらく(笑)。ただ不思議というか、自分でも感心しちゃったのが自転車だけはきちんと鍵をかけて傷もつかないようにして駅周辺の駐輪場に丁寧に駐輪してたんですよね。

 

E 無意識のうちにね(笑)。あれだけお金かけてたら盗難にあったら死活問題だしね。とっさに本能が働いたんだでしょう(笑)。

 

I ですね(笑)。さすがにあのときはお酒やめようかなって思いましたね。

 

E まぁその決意表明は何度もね。

 

I それでも結局辞められないんですよね。そういう飲みの機会が多いっていうのもあるとは思うんですけど、やっぱりお酒好きなんですよね、きっと。あと最近無性に飲みに行きたくなる漫画があるんですよ。

 

E なにそれ?『食の軍師』(※4)とか?

 

I いえ、『大市民』(※5)って漫画なんですけど知ってますか?

 

E んー。あ! もしかしてその漫画家さんって自分でレシピとか作ってる人?

 

I あーそうです、そうです! さすが詳しいですね。

 

E これはたまたま知ってたんだけど、臣くんは本当に変わった漫画知ってるよね。俺らいつも映画とかNetflixとか漫画の話してるけど、意外とついてくるもんね。

 

I 漫画は特に好きなんですよね。そういえば僕と江田さんって洋服の話ももちろんしますけど、基本は近況報告とか情報交換みたいな他愛もない話が多いですよね。

 

E そうだね。1杯いきますかってなるときはある程度お互い話のネタが貯まってて、溢れてきたから会うタイミング、みたいなことが多い気がするな。それは臣くんに限らず普段飲む友達もそうしたルーティンで会うことが多い気がする。

 

I うん、そうかもしれないですね。でも昔に比べると徐々に減ってきたんですかね。

 

E まぁやっぱり体力の衰退は否めないよね(笑)。昔みたいに朝までとかけっこうキツいもんな。

 

I 持たないですよね~。最近ふと思ったのが意識的に勝てないなって感じたらもうダメですね。

 

E あぁそうね。気の持ちようじゃないけどね。メンタルも大事なんだよねやっぱり。とはいえ歳なのは絶対にあるでしょ。酔った体を制御できなくなるよね加齢って。

 

I 幸平さんみたいに鍛えないとダメですかね。

 

E 幸平くんのフィジカルは本当にすごいよね。しかもストイックだしね。でもそれこそ昔はクラブ界隈の先輩たちが飲むときなんかは、みんなDJが終わった朝の5時くらいから本格的に飲み始めて、結果的に飲み終わるのは翌朝みたいなのはざらだったんだよね。化け物だよね。

 

I 24時間以上飲むってすごいですね(笑)。

 

E もうさすがに帰らせてくださいみたいな感じだったからね(笑)。

 

I 途中ビールで休憩するみたいな流れとかありましたもんね(笑)。

 

E そうそう。もうわけがわからないよね。あと”ダブルファンタジー”って名前らしいんだけど、日本酒とかの強めのお酒を飲むときにチェイサー代わりにビールをあてる飲み方があって。最近は、さらに本物のチェイサーとして水も置くようになったけど、血中のアルコール濃度のコントロールがしやすくてオススメだよ(笑)

 

I はいはい(笑)。僕は強いお酒があんまり飲めないので、どちらかというとレモンサワーとかウーロンハイをガブガブと飲むタイプですかね。

 

E 俺もそうだよ。俺らってさよくしゃべるじゃない? そういうおしゃべりなやつってすぐ喉が乾くからガブガブ飲んじゃうんだろうね。それが強いお酒だったらすぐ終了するからさ(笑)。

 

E ワインはグイグイ飲むもんじゃないけどね(笑)。そんな飲み方したら生放送中にわけわかんなくなりそうだよね(笑)。でもさ、思い返すと20代のころって潰れたりしなかったよね。めちゃくちゃ酔っ払ったとしても記憶なくすこともなかったじゃん。

 

I ですよね。僕もついこの前まで路上寝とかなかったですもん。

 

E やっぱりね、チェイサー入れないとだめなんだよね(笑)。あと、アフター用にラムネね。

 

I え、ラムネですか?

 

E そう。2日酔い防止で今結構流行ってるよ。単純にブドウ糖を大量摂取するのが1番いいんだって。周りの友人たちも割とみんな持っててびっくりした。効果があるんだろうね。お酒の席で、特に後半はまずラムネをみんなでボリボリ食べてることが最近多いよ(笑)

 

I 確かに岡山に出張で行ったときも持って行ってましたもんね。だからみなさんお酒強いんですかね。

 

E ラムネはお酒が強くなるというよりは2日酔いになりにくくなる、2日酔いに効く、という効能だね。基本お酒の強さは先天性の体質だからね。まぁなかにはフィジカル的に鍛えてて強い人もいるけどね(笑)。まーでもチェイサーだよ。間違いない。ほら、記憶なくすときって大体楽しくなりすぎちゃって、めちゃくちゃ興奮している状態のときが多いでしょ? だから楽しい時間に水を差すなんて言うけど、やっぱりそういうときこそ必要なんだよね。今と未来のために。

 

I なるほど。なんか今の言葉しっくりきました。そういえば、こういうお酒の場での話がきっかけで一緒にコラボしたブランド(※6)もありましたよね。

 

E そうだね。懐かしいな。もう5年くらい前かな?ブランドが休止したのが2年前くらい前だもんね。

 

I 休止しちゃったのは、僕らが後半少し無責任になっちゃったのが原因でもありますね……。

 

E いやいやちょうどお互いの会社がバタバタし始めたタイミングだったからね。もともとそこまで責任を持ったブランドコンセプトじゃなかったし、名前もテキスタイルもひどいしね(笑)。ただ、3年で30型とか出してたのを、3型で10年続けられたほうが良かったのかな~と思ったりするけど。

 

I まぁ。そうですね(笑)。

 

E ちゃんと俯瞰できる第3者を入れないとさ、自分たちだけだとどうしても歯止めが効かなくなっちゃうんだよね。お酒と同じですぐオカワリ(笑)。

 

I でも面白かったですよね。ああいったノリでブランドを一緒にやれるってなかなかないですし、単純に楽しかったですよね。

 

E 打ち合わせが居酒屋だったしね(笑)。

 

I またいつか機会があれば一緒に何かやれたらいいですよね。

 

E そうだね。そのときは飲みの席もいいけど、お酒入るとまとまらなくなるから、やるとしたら平日3時くらいから打ち合わせかまして、でそのまま飲みに行こう(笑)。

 

I ですね(笑)。それ聞いたら急に仕事モードになってきました(笑)。僕はそろそろ教訓どおりにチェイサーをもらっておきます(笑)。

 

E 俺は今日はいいかな(笑)。

 

I え~(笑)。

 

E ご主人、ちょっと彼に水差してあげてー!

 

(※1)「ETHOS」ディレクターの柳内 恵一郎氏。
(※2)「VAINL ARCHIVE」 デザイナーの大北幸平氏。
(※3)「bal」 デザイナーの蒲谷 健太郎氏。
(※4)原作・久住昌之、作画・泉 晴紀による2人の漫画家コンビからなる、泉 昌之による人気グルメコミック。
(※5)『特命係長 只野仁』などで知られる柳沢きみおによる、自身の社会観や趣味、生活習慣について綴ったエッセイ的作品。
(※6)「bal」と「ETHOS」によるコラボレーションブランドの「LEMON & SODA JOINT WORK」。”FUCK OFF”のテキスタイルがアイコン。