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それぞれの時間、それぞれの渋谷 ――山本海人

Shibuya and Me それぞれの時間、それぞれの渋谷

今日もここはひとびとの活気で溢れていて、悲喜こもごもの人間模様を描いている。ここで長い時間を過ごしてきた人たちはビルの谷間で何を想い、どんな経験をしてきたのか。渋谷。こうしている今も、この街では誰も知らない新たな物語が生まれている。


「渋谷にこんな場所があったら良いな、と思ったんですよ」

スケーターやミュージシャン、海人さんの周りにはそんな仲間がたくさんいて、そうしたひとびとは夜な夜な渋谷の繁華街街でハングアウトしていたりする。海人さんもご多分に洩れず……と思いきや、「俺、ぶっちゃけ人が多いところが好きじゃなくて。クラブとかに行っても、2分くらいで出て帰っちゃうんですよ。混んでるところが苦手だから、電車にも乗れなくて」と意外なひと言が。たしかに、夜に見かける海人さんはいつも仲間と談笑し、チルしてお酒を嗜んでいる。そんな彼がコンセプト決めから関わった新たな飲食店が先ごろオープンしたが、店舗があるのは平日・週末ともに多くの人や車が行き交う道玄坂。なぜ、彼はこの場所を選んだのか。「渋谷にこんな場所があったらいいな、と思ったんですよ。少ない席数で、お酒だけじゃなくて美味しい蕎麦が食べられて、いずれは昼もやってるっていうような。場所も、道玄坂って松屋から上は一気に人の流れが途絶えるんですよ。ここはその上にあって、それがすごくいい」。コンクリートの打ちっぱなしの空間に、割烹のようなウッドの大きなカウンター、そしてオリエンタルな木彫の装飾の数々。奥には雀卓が2台あり、食事だけじゃなく、気軽に遊んで欲しいのだと海人さんは楽しそうに話す。「蕎麦だと、中年の体にも優しいですから(笑)。目黒にトレーラーハウスを作ったのが27歳のときで、 SON OF THE CHEESEでバーをやり始めたのが30のとき。今、僕は35歳でこのお店を始めてっていう風に、いつも少し背伸びをして何かを始めるくらいがちょうどいいんです。今までなかった場所ができるって、やっぱり面白いですよね」。彼がそんな価値観を持つに至る途中に、この街で得た経験が少なからず活きているのは想像に難くない。そして夜の渋谷がまたひとつ、新たな表情を覗かせる。

 

SON OF THE CHEESEのニット 1万8000円、パンツ 1万7000円(ともにSON OF THE CHEESE ☎03・6427・1986)、VANSのスニーカー(本人私物)

 

photo:OKABE TOKYO text:Rui Konno

profile

Name 山本海人
Job SON OF THE CHEESE ディレクター
At SOBER
1983年、東京都渋谷富ヶ谷生まれ。ラリー・クラークが手掛けた映画『KIDS』が公開された10代のころにスケートに傾倒し、その後18歳で渡米。5年間をシアトルで過ごす。その後帰国し、いくつかの職を経て自身のブランドをスタート。先ごろ、本項でも語った蕎麦屋「SOBER」のローンチに携わったばかり。

 

SOBER
住所:渋谷区道玄坂1-19-10 J-1ビル3階
☎03・6876・0760
営業時間:18:00~24:00

夜遊びするとき、立ち寄るトコロ


個室居酒屋 水炊き 波多野
「まず立地がすごいし、入り口とか、空間もすごく良いんですよね。忍成っていう奥の部屋があるんですが、そこが自分の1番好きな場所です」

 

住所:非掲載
☎03・6455・0010
http://hadano-tori.com/
営業時間:12:00~14:00 、月~金…18:00~4:00、土・祝…18:00~4:00※日曜定休

WOKINI
「クラブが得意じゃない僕が、みんなと夜遊びをしてて行き着く終着点です。紹介されないとまず入らないような店構えが面白いですよね」

 

住所:非掲載
☎非掲載
営業時間:月~金…18:00~5:00、土・日…20:00~5:00

バックタウンカフェ
「災横丁の階段を登ったところにあるお店。隣にはカラオケルームがあって、僕らから見ると先輩世代の人たちがたくさん集まっている場所です」

 

住所:渋谷区道玄坂2-18-5
☎03・3476・0372
営業時間:20:00~4:00※日曜定休

※本ページは『warp MAGAZINE JAPAN』2018年6号に掲載された情報を再編集したものです。

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