FASHION

あの人が高ぶる、くつとカバン――猪塚慶太

The Choice is Yours

ウエアよりも道具の側面が強いシューズやバッグは、使い勝手ももちろん大切だ。だけど、そこに美学や思い出を込めるとそんな実用品は替えの効かない唯一無二の存在となる。センスの良いあの人たちの心が弾むのは、どんなアイテムに触れたときなのか。納得や共感とフレッシュな驚きで満ちた彼らの”選択”に誰よりクールな彼らの偏愛と情熱を見る。

Photo:Kengo Shimizu text:Rui Konno

"使ってみたいと心底思えるか"良いものの基準はいつだって、そこ

現代のファッションを語る上で、ストリートとモードは切り離せないものになったが、猪塚さんはそんな価値観が定着する、ずっと前から当たり前のようにそうした視点を持っていた。「おこがましいし、人と比べるものでもないけれど、誰よりも服を見てきたっていう自負もあります」と、彼は静かに話す。それだけに、彼が見せてくれたバッグには若干の違和感を覚えさせられる。名門の「LOUIS VUITTON」で定番のダミエ柄という、普遍的な存在だというのがその理由だ。「僕も歳を重ねてきて、こういうモノを気負わず持てるようになってきた気がして。もちろんヒップホップも好きだけど、これにそういう意味合いはなくて。白Tにジーンズとかで、さらっと持ちたいです」。ひとりの服好きとして、自然体をのぞかせる猪塚さん。しかし、その視点はやはり鋭敏だ。「シューズはALYXで、最初にハイカットを、その半年後にローカットを買いました。例えばローカットはアッパーがホースハイドだったり、革のグレードが高いのも良い。僕の中ではALDENとトレッキングブーツが混ざったような感覚です」。気鋭デザイナーズから名品を確実にピックアップしているあたりはなんとも彼らしい。そうしたアイテム選びの精度は年々上がっていると感じるそうだが、その決め手となるのは、今も昔も変わらない。「まず、自分で使ってみたいと心底思えるかどうか、そこに尽きますね」。気になるブランドやスタイル、アイテムは日々出てくるそうで、気になれば初見のお店にも躊躇せず入り、ディグのツールとしてSNSも好意的に捉えていると猪塚さんは言う。「いろんなものを見て、着てアガる。そうやって新しいものに出会えるのを日々楽しんでいます」。

「LOUIS VUITTON」のダッフルバッグ “Keepall Bandoulière”
ダミエ・グラフィット ストライプのシックなレザーに、イニシャル入りのタグが映える。「本当は”EPI”が良かったんですがメンズがなくて、モノグラムは僕には少し派手だったのでこれにしました」

「ALYX × ROA-Hiking」のブーツ&シューズ
ラギッドなビブラム®ソールとシャープなラスト、アッパーのフォルムが特徴的な人気コラボシリーズ。「最初に買ったのは1年半くらい前。僕は飽き性なんですけど、この冬も良く履いていました」

Name:猪塚慶太 Job:スタイリスト

Profile:1974年生まれ、福岡県出身。2003年の独立以降、多くの雑誌や広告などで活躍していて、アーティストや俳優からの信頼も厚い。

※本ページは『warp MAGAZINE JAPAN』2018年4号に掲載された情報を再編集したものです。

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