伝統は更新され、スタイルは個人に宿っていた。 東京を舞台に、メンズの現在地が映し出されていた。
英国のグローバルラグジュアリーアクセサリーブランドJIMMY CHOOは、SPRING 2026 MEN’S CAMPAIGNを発表した。本キャンペーンでは3人のクリエイターを起用し、クラフツマンシップ、クリエイティビティ、そしてパーソナルスタイルのユニークな対話を映し出した。




英国のグローバルラグジュアリーアクセサリーブランドJIMMY CHOOは、SPRING 2026 MEN’S CAMPAIGNを発表した。本キャンペーンでは3人のクリエイターを起用し、クラフツマンシップ、クリエイティビティ、そしてパーソナルスタイルのユニークな対話を映し出した。



日本を舞台に撮影された本キャンペーンは、個性、スタイル、そしてものづくりが交差する瞬間を切り取った内容だった。JIMMY CHOO MANが掲げるのは、審美眼を持ち、表現力に富み、素材と向き合う姿勢を忘れない男性像だ。本キャンペーンに登場するクリエイターたちは、それぞれの視点とスタイルで、その精神を体現していた。
キャンペーンはスチールとフィルムを通して構成され、各クリエイターが自身のスタイル、クラフツマンシップへの敬意、そして創作のプロセスを語っていた。そこに描かれていたのは、クリエイティビティと技術が常に影響し合いながら更新されていく、そのリアルな瞬間だった。
クリエイターのひとり、小木“Poggy”基史氏は、ブローグディテールを配したダービーシューズ「ROWAN(ローワン)」を着用して登場した。世界的に知られるファッション・キュレーターであり、DEAR BOROの創設者でもあるPoggy氏は、日本の伝統的な職人技と現代カルチャーを横断し、不完全さの中に美を見出し、革新の中にバランスを見出す独自の視点を持っていた。その感覚は本コレクションにも色濃く反映されており、JIMMY CHOOのメンズコレクションでは、クリエイティブ・ディレクターのSandra Choi(サンドラ・チョイ)とスタイル・キュレーターとして協業していた。
OJASというクリエイティブネームで知られるDevon Turnbull(デヴォン・ターンブル)氏は、フリンジタッセルを配した「BUFF(バフ)」を着用して登場した。ブルックリンを拠点に活動するアーティスト兼オーディオエンジニアである彼は、ハンドメイドのオーディオシステムを軸に、音楽の感情的本質を探る“機能する彫刻作品”とも言える表現で支持を集めてきた人物だった。ファッション、ストリートウェア、ファインアート、サウンドを横断する彼の活動は、分野を越えたクラフツマンシップと個性を追求する本コレクションの姿勢と強く共鳴していた。
TRADMAN’S BONSAIの創設者である小島鉄平氏は、ワックスカーフレザーにヴィンテージ加工を施した「ROWAN(ローワン)」のダービーブーツを着用した。盆栽の生産者であり職人でもある彼は、「伝統は革新の連続である」という哲学を体現し、何世紀にもわたる盆栽文化を現代の感覚で再解釈してきた。緻密で妥協のないアプローチは、伝統と革新を融合し、タイムレスなフォルムを現代的に昇華する今シーズンのテーマと重なっていた。
本キャンペーンは、SPRING 2026 COLLECTIONのムードを象徴するものだった。永続的でありながらダイナミック、洗練されつつも本能的。クラシックなメンズシルエットは現代的な視点で再構築され、質感のコントラストや革新的な仕上げ、今の感覚に即したプロポーションによって、軽やかさと緻密さを併せ持つビジュアル言語を形づくっていた。
Sandra Choiは次のように語っていた。
「今シーズンのJIMMY CHOO MEN’S COLLECTIONは、ブランドの核にあるクラフツマンシップへのこだわりと、現代文化を形作る存在であるという私たちの役割を称えるものでした。伝統と“今”を融合させたメンズアイテムを構想し、職人の手仕事と高度な構造技術によるクラシックなスタイルに、新たな解釈を加えたかったのです。Poggyとの対話を重ねることで視点はさらに研ぎ澄まされ、完全に今を感じさせるコレクションへと昇華しました。」
SandraとPoggyの協業によって完成した本コレクションは、クラフツマンシップ、文化、個性に根ざした現代的なメンズウェアのビジョンを進化させたものだった。英国の伝統的な靴作りと、日本的な仕立ての感性が洗練された形で融合し、ヘリテージを尊重しながらも、現代的な明快さを備えていた。
Poggy氏もまた、こう振り返っていた。
「初めてJIMMY CHOOのメンズコレクションが発表されたとき、私は日本のセレクトショップのバイヤーとして関わっていました。2021年にはEric Haze氏とのコラボレーションがあり、今回スタイル・キュレーターとして深く関われたことを嬉しく思っています。クラシックをベースに遊びを加えるメンズスタイルが好きなので、Sandraとチームと共に、新しい表現を作っていきたかったのです。」
アクセサリーでは、WINTER 2025で初登場した「BAR HOLDALL(バー ホールドオール)」が再登場した。ソフトグレインレザーと耐久性に優れたナイロンを組み合わせたキャリーオールで、柔らかなサイドの折り目が収納力を高め、現代の動き続けるライフスタイルにフィットする設計だった。「BAR VERTICAL TOTE(バー バーティカルトート)」は、精巧なスタッズワークによって、定番フォルムを新たに解釈していた。
カジュアルラインでは、技術革新と伝統技巧の緊張関係をさらに掘り下げていた。「DIAMOND X II(ダイヤモンド X II)」は建築的なソールを特徴とし、「DIAMOND FLEX(ダイヤモンド フレックス)」は折りたたみ可能なヒールによって快適性を追求していた。スペインでハンドメイドされた「COVE(コーヴ)」サンダルもまた、伝統技術と革新的素材を融合した一足だった。
伝統と革新、精緻さと軽やかさ。そのコントラストを探求したSPRING 2026 COLLECTIONは、時代を超えたデザインの理念を称えながら、新たな意味をもって静かに更新されていた。キャンペーンに登場したクリエイターたちは、クラフトを静的な技術ではなく、生き続け、進化し続ける個人の表現として体現していた。