躍進を続けるソックスブランドの裏側 Behind the Scenes STANCE 2017 A/W Issue

アーティストとのコラボレーションやスポーツ用ソックスなど、年間1000足ほどの新作をリリースし、今やソックスブランドとして不動の地位を確立する「STANCE」。アメリカ・サンクレメンテに拠を構える本社取材を通して、ブランド開始から7年ほどでここまでの成長を遂げた本ブランド躍進の裏側に迫る。

photo:Asato Iida illustration:Aimi Odawara

今や、ソックスブランドにおいて不動の人気を誇る 「STANCE」。ブランド開始当初からのオリジナル メンバーであるタイラー氏に話を訊いてみた。

教えてくれるのは…タイラー(インターナショナル・ディレクター)
現在は、インターナショナル・ディレクターとして世界各国を飛び回る。その飛び抜けに明るいキャラクターで、社内でも人気者だ。

war p(以下、W ) 改めてブランド誕生の経緯を教えてください。

タイラー(以下、T ) もともと別のブランドに勤めていたメンバーたちが集まり、小さな建物の地下(※1)を事務所代わりにしてスタートしたんです。そもそも、ソックスは誰も光を当てようとしていなかった。それでも、他のアパレルに比べても、スポーツやアート、音楽などのカテゴリーの垣根を越えてプロダクトを提案ができる。僕らはそこに相当な可能性を感じたので、ソックスブランドとして歩んでいくことを決めました。ここアメリカのサンクレメンテで生まれたということにもあるように、最初は、自分たちが好きなサーフィン、スケートボードなど等身大のカテゴリーでソックス作りを始めました。ブランドのポリシーとして、"デザインが優れたモノを高いクオリティで作る"ということを掲げ、新しいソックスを作ってはそれぞれの人脈を活かして周りの友人に実際に履いてもらい、意見をもらいながら改良を続けていきましたね。その後、少し広いオフィス(※2 )に移動したのちに今のヘッドクオーターを構え、2015年にはNYのソーホーに1号店をオープンしました。(※3)。

W 今ではスポーツ、音楽、アートなど幅広いカテゴリーに提案するプロダクトを作っていますよね。

T そうですね。着実にカテゴリーを開拓しているところです。今では、バスケットボールのNBA 、野球のMLBと公式に提携をして、全選手が着用してくれるようになっています。音楽のシーンでもリアーナをアンバサダーに迎え入れたりと、それぞれのカテゴリーの最前戦に提案できるようになっていますね。アートにおいては、アーティストと蜜に繋がっているスタッフも多く、その関係性を活かして注目アーティストと一緒にソックス作りもしています。

W 新しいカテゴリーへ進出する際の障害などはあるんでしょうか。

T サーフィンやスケートボードなどの限られたカテゴリーでスタートしたブランドなので、新しいカテゴリーを取り入れようと思うと、内部の人間だけでは限界があるんです。そこで、その道のプロフェッショナルをブランドに招き入れるんです。そのカテゴリーに精通していてなおかつ経験を積んでいる人物ですね。その人物を見つける作業というのが結構大変なのですが、適任者と組むことでブランドが持つアイデンティティの可能性がより広がり、カテゴリーの最前戦でブランドの提案をすることができると感じていますね。

W 今後ブランドとして目指していくところはどこですか?

T 基本的には、ポリシーであるデザイン性や品質というのは高い次元で提案していくというのは変わらず必要なことですね。様々なカテゴリーを開拓するというのにもひとつの信念と繋がっていて、"デニムだったら「Levi's®」"、"サングラスなら「Ray-Ban」"というように、"ソックスなら「STANCE」"とみんなに認知してもらうブランドになるのが最大の目標なんです。まだ新しいブランドなので、ブランドの持つ"ストーリー"をもっといろんな人へ伝えていく必要があるなと感じていますね。

※1_この建物の地下でソックスブランドとして産声を上げた
※2_軌道に乗り始めた時期に2番目のオフィスへ移転した
※3_今の本社(ヘッドクウォーター)に残るショップ1号店の原型デザイン

世界有数のサーフスポットとしても有名なビーチリゾートのサンクレメンテに拠点を構える現在の本社。開放的な空間で、クリエイティブを生み出すための充実した施設が揃う。

本社内には、親交のあるアーティストたち のアートワークがいたるところに飾られてい る。ブランドの強みでもあるその繋がりは、 ブランドが誇る高い"デザイン性"という面に も多大に影響を与える。

1_エントランスの壁一面に飾られたアートワーク。ドローイングアーティストのラス・ポープなど、西海岸ならではのアーティストの作品が並ぶ 2_壁一面に描かれたローズ・アシュトンのインパクトある作品 3_ジェイソン・ジェシーらしい、バイクと「Converse」を融合した力強いアートワーク

4_ラス・ポープの作品はSTANCEスタッフみんなのお気に入り 5_ブランドスタート当初から親交のあるマーク・オブロウの作品が階段の壁を埋め尽くす 6_ブランドの専属フォトグラファーであるクアンの遊び心溢れる写真の数々

ブランドが誇る高い品質を維持できるのには訳がある。それは、社内に研究施設のラボを併設し生地の改良やサンプルテストが繰り返し行われているからだ。1000を超える新作をリリースできるそのスピード感にもまた驚かされる。

1_イタリア製の製編機を10台近く設備。スポーツカテゴリーにも進出する本ブランドだけに設備投資も大事な要素のひとつだとか 2_生地からテストや改良が行われ、常に品質の向上が可能となる

3_ものの10分でソックスの原型が完成するという驚きのスピード感だ 4_ラボ内には様々なテスト用機材が置かれ、見るだけでもテンションが上がる室内 5_ほぼ自動で行われるため、人手が掛からない利点もある

社内を訪れた第一印象は、風通しの良さ。働く人たちの距離感も非常に近く密にコミュニケーションを取る姿が垣間見れた。広いオフィス内には、各部署のデスクはもちろん、体育館や食堂などのレクリエーション施設も充実。

1_天井の高い快適なデスク空間。就業時間は、特別決まりがなくそれぞれが抱える仕事を自分のペースで進めていくのだとか 2_オフィス内に壁などの仕切りもなくキッチンスペースが現れる 3_この日のランチメニュー。基本的には野菜が中心の献立。もちろんこれらも無料で味わえる 4_ソックスだけではなくアンダーウエアにも参入したSTANCE。そのデザインを担うアラン

5_食事スペースの隣には卓球台が配備。この日も食事後にさっそくゲームをスタートする人の姿が 6_コミュニケーションを取る人たちの姿があちらこちらで見ることができる 7_広い体育館がオフィス内にあるのも驚き。社内でバスケットの大会を開催したりイベントを催したりもするのだとか 8_夕方ころになると、体育館に併設したジムにはトレーニングをする人たちの姿がチラホラ

ブランド当初からサポートするスタイルアイコンや、新しく参入するカテゴリーのためにスペシャリストを招き入れるなど、常にキーとなる人物を多く擁するのもSTANCEの強みのひとつだ。

1_バスケット部門のライセンスディレクターのビージェー。彼自身もプロとして活躍していた経歴を持つ 2_同じくライセンスディレクターのティー。NBAの公式ソックスとしてブランドを飛躍させた人物だ

取材当日、たまたま本社を訪れていたスコッティに遭遇。プロサーファーとして、またファミリーで構成するクルー"CYCLE ZOMBIES"の一員として、西海岸を代表するスタイルアイコンとして注目を浴びる人物だ。彼も「STANCE」立ち上げ当初からブランドと親密な関係のある人物。「俺にとっては、STANCEはファミリーだね。昔から知っている連中だし、ずっとサポートもしてくれている。家には大量のソックスがあるんだけど、それをまとめてる山の中から適当につかんだ2足を履くなんてこともあるんだ(笑)。履きやすさだったりデザインだったりが自分にぴったりだから、今や欠かせないプロダクトのひとつなんだね」。

▼詳しくは、
カスタムプロデュース
☎0800・800・2380
stance-jp.com

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