【#tbt】使い続けて幾年月映画とインテリアの愛着物語_#1

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03/16 18:43 UP DATE COLUMN

【#tbt】使い続けて幾年月映画とインテリアの愛着物語_#1

皆さんはSNSで良く聞く”#tbt”ってご存知ですか!? このハッシュタッグ日本ではまだまだ馴染みがないですが”#throwback thursday”の略称で、アップするネタに乏しい木曜日は、過去をみんなでシェアしましょうと言う意味なんだとか。誰が考案したのか知りませんが、web担当も思わずニッコリなシャレオツで理に適ったものを考えるもんです。そんなわけで、みんなで使うハッシュタグならパクっ……参考にしても問題ないだろうと言うことで、木曜は「warp MAGAZIN JAPAN」本誌に掲載された人気記事をディギンしちゃいます。まぁ……ようはリサイクルってことですが、内容は確かなのでぜひぜひご覧あれ!


今回はあこがれのあの人が語るインテリアと映画に迫った記事を2週に渡ってご紹介。

使ってこそ魅力が増すインテリア。気がつけばずっと使ってた。ふと思い出す。そんな愛着あるインテリアと映画をセンパイ方々がリコメンド。インテリアも思い出も、その経年変化は愛着度がモノを言う!?
photo:Kenji Nakata styling:Shinya Endo text:Senichiro Ozawa, Mayu Sakazaki

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「独身時代、僕がいいなって思い買ったものって、ネルソンのものが多いんです」。ジョージ・ネルソンは、「Herman Miller」のデザインディレクターを務め、イームズ夫婦を見出した人物。彼がデザインしたプラットホームベンチはあまりにも有名だ。そういえばその昔、所属する「T19」が国内デッキカンパニーとして初めてシグネーチャーモデルをリリースしたのだが、それはNIGO®氏とそのサポートに「7STARS DESIGN」が入って完成したイームズのグラフィックのYOPPI(=江川芳文)モデルだった。彼を象るものとしてはスケートボードやアメリカンカルチャーっていうのがわかりやすいかもしれない。実際に、「Powell」がリリースしたスケビ『アニマルチン』や、そこに登場するトミー・ゲレロやステーシー・ペラルタたちには多大な影響を受けたというし、ストリートスケートの代名詞のひとつであるアスファルトを上手く活用したショップを作ってみたいと考えてもいる。他に「POLO RALPH LAUREN」のホームコレクションにあるような、ありえないチェックのソファに、ゼブラ柄のブランケットを合わせてしまうようなガチャガチャ感も好きだ。だが、今回は家族が集うリビングルームの主役であるイスを選んだ。「木でできたものが好きで。奥さんが使ってたチャーチチェアは、金具を一切使わずにすべて木を組んでできてて、とても丈夫なところもいい。細部にクロスがデザインされてたり、教会にあるようなイスが買えるとは知らなかったけれど……」。そう言った後、江川氏は「今では家族分揃えてある」とつけ加えた。

もともとは奥さんが持ってたもの。チャーチチェアっていうのがあるのをそのとき知った
アンティークのチャーチチェアの背もたれの収納には聖書の代わりに大事な本やメモを入れたりしている。実際には、すでにあった1脚に家族が増えたので2脚買い足した。

~マイ・インテリア教本~ 『E.T.』『STAR WARS』

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「例えば、以前やっていた「realmad HECTIC」のショップの地下のインテリアは、『STAR WARS』を参考にしました。近未来な感じ。イメージはコンパクトでメタリックな宇宙船内ですね。ダース・ベーダーがいるデススターの壁の電飾なんかは、シューズのディスプレイをするときに取り入れさせてもらいましたね。『E.T. 』もそうだったけど、『STAR WARS』のインテリア特集が雑誌で組まれたりしたほど、面白いですからね。で、監督のジョージ・ルーカスの自宅も映画のまんまの感じだったという驚き。オブジェとかも普通じゃないものばっかりで」。インテリアに関して、江川氏はかなり映画の影響を受けているのがわかる。他にもジョン・ヒューズが制作に絡んでいるものでマコーレ・カルキンの『ホームアローン』シリーズや『フェリスはある朝突然に』なんかのシーンも思い出すところがいっぱいあるという。しかし、やはりその中でも『E.T. 』と『STAR WARS』は別格だ。「好きなものがたくさんあるのは間違いないです。ただ、なんでもよくはないっていうのはハッキリしてて。チャーチチェアみたいな木だけのもの、アメリカンなガチャガチャしてたり宇宙船みたいな普通じゃない感じがいい。あとは、自転車のチューブや鉄のパイプを作ってるメーカー「Columbus」の職人が、なぜか作ってしまったイスが最高です。イームズに比べてまったくの無名でイーベイでディグっても出てこないシロモノ。まだ買えてないですが、グッときました」。江川氏がチャリンコも大好物だったのを忘れてた。

色味をはじめ、リビングの感じがとてもよい
「昔に観た映画を見直すと内装やディスプレイの参考になるシーンがたくさんあります。それと、子どものころは、リビングなんかが映るとベーシックなアメリカのファミリースタイルが垣間見れて、素敵だなって思いましたね。家族が集う場所っていいですね」。

『E.T. 』(1982年 アメリカ)
スティーヴン・スピルバーグ監督。地球外生命体と少年たちの交流を描いた感動作。ハーシーズのチョコレートや「KUWAHARA 」のBMXなど当時ブームとなったものも多い。
『STAR WARS』(1977年~ アメリカ)
ジョージ・ルーカス監督。エピソード4を皮切りに、”遠い昔、はるか彼方の銀河系で”というイントロがあまりにも有名な、今なお続編が作られているスペースオペラの傑作。
江川芳文|えがわよしふみ Profile
スケーター、はてはデザイナー。東京のストリートシーンで名を馳せるだけでなく、国内外のストリートヘッズと親交も厚く、”YOPPI”の愛称はストリートカルチャーのアイコンのひとつと言ってもいい。Hombre Niño×toneのニット 3万6000円(E.S. Co.,Ltd.)、その他本人私物

 

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「Herman Miller」といえば、歴史あるコンテンポラリーデザイン家具レーベル。ミッドセンチュリー時代には、チャールズ&レイ・イームズやイサム・ノグチといったデザイナーが携わっていたことでも知られている。ENOSHI氏愛用のグループチェアも機能的でありながらデザイン性がとても高くて、良い意味で収まりがいい。しかし、これはハミ出しものだった。というのは、ある日、オフィスの隣りにあったガソリンスタンドが潰れるということでゴミが出た。その山の中にあったのがこのグループチェアだったという。当時でも40万円はくだらなかっただろう。目が利くENOSHI氏は、オーナーに話して譲り受けることに。以来、これが自身のアイデアを引き出す相棒となったのだった。もともと”レン&スティンピー”や”ラットフィンク”といった濃いキャラのアメリカントイが好きで、それらがインテリア雑貨のような役割を果たしてたころ、必然とオフィスはカラフルな感じだったという。しかし、ヴィンテージチェアが経年変化するようにENOSHI氏が描くイメージも良い感じにヨレていき、現在は黒を基調としたオフィスになっている。「黒色を選ぶようになったのは、シンプルがいいってことだけではなくて。シンプルだけど、なにかしら自分の手を加えたくなるようなものをチョイスしてる。それは好きなバイクをビルドするのと似ているかもしれない」。譲り受けた「Herman Miller」のグループチェアも同じ。手を加え続けて、自分だけの使い勝手のいい、タダより高い愛すべき逸品になっていくのだ。

タダより高いものはない。その異例となったグループチェア
自分でメンテナンスしながら10年以上愛用している「Herman Miller」のグループチェア。ヴィンテージの高級家具だけれど、これは出どころが変わっているのがまたいい感じ。

~マイ・インテリア教本~『SMOKE』

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サーファー、シェイパー、バイク乗りでビルダー、デザイナー。幅広く活躍しているENOSHI 氏。立派な体躯に精悍な顔立ち。ツッコミどころがなさすぎて、一見、無欠のマルチプレーヤーに思えるが、果たしてどうだろう。ルックスはさておき、実はそのスタイルはゴツゴツしてて硬い塊って感じがする。それは間違いではない。結局はそれらすべては、サーフィンにしろ、バイクにしろ、スケートボードやデザインする服にしろ、波やエンジンなどの動力をアドバンテージにしながら、自らの手足を駆使してスピードを体感していくようなものへと帰結されていくのだ。その人の思考と力が乗り物と密接に関わっているものと言ってもいいかもしれない。で、それをとことんまで使い続けたりやり続ける。ENOSHI 氏の徹底している感じが、塊のように思わせるのかもしれない。『スモーク』もそんな映画だ。無骨な主人公を演じるハーヴェイ・カイテルはひたすら煙草をくゆらせ、店に立ち、写真を撮り続ける。そして、煙を吸い込みながら、いつから使っているのかわからないヤニが付いたテーブルの上に代わり映えのしない何十冊ものをアルバムを広げるのだ。衆人が理解しやすいものなどそこには存在しない。しかし、ある特定の人にはとても意味がある。例えば、映画でいったらポール・ベンジャミン役のウィリアム・ハートだけが気付き涙した1枚の写真。ENOSHI氏だったら、やり続けてきたからこそ渋く光り出すボードやバイク、プロダクトたちの魅力。それはインテリアの経年変化に通じている気がする。

やり続けないと意味は生まれてこない
「今の自分の仕事や生活に直結しているわけでもないのに、主人公のスタイルというかライフワークに敬服してしまう映画。ありそうでなにもない。なさそうでなにかある。そんな日常を上手に描いていて、続編の『ブルー・イン・ザ・フェイス』も合わせて好き」。

『スモーク』(1995年 アメリカ・日本・ドイツ)
ウェイン・ワン監督作品。タバコ屋の店主がかつて盗んだカメラ、キャノン”AE1″で撮り続けているニューヨークの一角の毎日同じ時間。シークエンスのようでトピックが潜む物語。
ENOSHI|えのし Profile
シェイプルームでボードを削り、アスファルトにゴムやウィールを擦る。まさに”Rough and Rugged”を地で行く男はサーフィンやモーターサイクルなど体感速度からグッとくるものを追い続ける。

 

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「CALIFORNIA STORE」の薄暗い店内。魅惑の雰囲気をそのまま自宅に持ち込んでいる秋山さん。天井を見回しても、そこにあるべきライトが付いていない。薄暗いのを好むため、部屋の灯りを担うのはランプだけというのが面白い。それを取り巻く、どこからどう見てもアメリカンなポスターや雑貨などはアメリカで買い付けてきたが店頭でまったく動かなかった商品たちだとか。売れ残ってしまったのは残念ではあるけれど、自身のお気に入りであるということも間違いない。店も自宅も自分の趣味全開というのは説得力がある。さらに言うと、買い付け先のモーテルの自室でも、着いたその足で買い漁った70′sの香りのするものたちで演出するという。70′sフレーバーが身の回りに常にあると気分がいい。それが秋山さんのインテリアから受けるベネフィットであり、それを形成するのは、アメリカ、ルートビアやバドライトの薄いビールと薄明かり、70′s、そして茶色なのだ。「僕が好きな70′sの象徴っていうのが茶色なんです。普段着るものも家具も茶色が圧倒的に多いです。そうなった理由はウッディなものがまた流行り出してたころで、木のインテリア雑貨やオブジェがたくさん作られてたっていうのがあるかもしれない。とにかくこのころの風合いがたまらないですね」。ウッディで茶色なものばかりに囲まれているのに、きこりや山男それに北欧系にもならないで、70′sのアメリカンになるのは「CALIFORNIA STORE」店主のエロくてサスガのところ。つけ加えておくと、部屋にある全部がユーズドのものだというのも徹底している。

代官山でひと目惚れしてから幾年月。薄暗い部屋の主役を張り続けるランプシェイド
20年前、当時代官山にあった古着屋「メトロ・ゴールド」で出会ったランプシェイドとランプは70′sもので、薄明かりを好む秋山さんにぴったりとハマった。以来、ずっとこの灯り。

~マイ・インテリア教本~『ラスベガスをやっつけろ』

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古い映画が好き。そして古着好きな人が観るようなタイトルは、もちろんひと通り観ているという秋山さん。味のあるモーテルが出てくるような、ジェームス・ディーンをはじめ、スティーブ・マックイーンやマーロン・ブランドといった古き良きアメリカの人気者たちが活躍する映画だ。ユーズドのものも扱う店主の答えとしてそれは正解だろう。だけど、実はゾンビ映画がとても好き。それはさておき、秋山さんの中の70′sアメリカの茶色な世界観をもっとも抽出できる作品は何かというと、『ラスベガスをやっつけろ』になる。舞台は70′sのアメリカはラスベガス。ストーリーはロードムービーに当時隆盛してきたゴンゾー・ジャーナリズム的なものとドラッグを混ぜ合わせたぶっ飛んだ内容。センセーショナルな映画だが、そこにある70′sの茶色なアイテムたち、例えば、ホテルの家具や板張りの薄暗いフロア、登場人物たちのファッションなどはドストライク。まさに秋山さんのツボといえた。買い付けに行くたびに感じたウエストコーストに未だに残る、茶色い70′sなアメリカの匂い。それを構成するインテリアやファッションのビタミンBがこの映画にはちりばめられていた。時代を象徴するようなアイテムが散乱していた。秋山さんのように、茶色もしくは70′sアメリカ好きな人やアメリカンなオヤジ世代はぜひ観て欲しい。「良いものを安く買いたいならユーズドがいいに決まってる。以前の家具屋さんはもっとお手頃な感じだったのにぃ!」と、現在の価格高騰ぶりに笑いながら少し憤慨してみせるのも、茶色ないいオヤジが成せる技。

自分好みのリアルなアメリカの色や雰囲気
「どことなく小汚い感じでキレイに描かれていない、茶系のアメリカというのがいいんです。インテリアだけでなく、主人公のジョニー・デップが掛けているディアドロップやカバーオールなども茶色でまとめられていて、非合法なネタ以外は丸ごと影響受けた映画です」。

『ラスベガスをやっつけろ』(1998年 アメリカ)
テリー・ギリアム監督。1970年代のアメリカを舞台に繰り広げられる破天荒ムービー。ジョニー・デップのファッションやラスベガスの街の風俗など、全編に70′sアメリカが満載。
秋山孝宏|あきやまたかひろ Profile
中目黒のショップ、「CALIFORNIA STORE」オーナー。ハンドメイドでトンチの効いたTシャツたちをはじめ、街でもビーチでも他とは被らない「THE CREEM」のアイテムなど百聞は一見にしかずな佇まい。

※本ページは『warp MAGAZINE JAPAN』2017年3号に掲載された情報を再編集したものです。

http://www.warpweb.jp/feature/feature.html