【#tbt】ラッパーの2人が守るクラブとクラブカルチャー

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02/16 21:25 UP DATE COLUMN

【#tbt】ラッパーの2人が守るクラブとクラブカルチャー

皆さんはSNSで良く聞く”#tbt”ってご存知ですか!? このハッシュタッグ日本ではまだまだ馴染みがないですが”#throwback thursday”の略称で、アップするネタに乏しい木曜日は、過去をみんなでシェアしましょうと言う意味なんだとか。誰が考案したのか知りませんが、web担当も思わずニッコリなシャレオツで理に適ったものを考えるもんです。そんなわけで、みんなで使うハッシュタグならパクっ……参考にしても問題ないだろうと言うことで、木曜は「warp MAGAZIN JAPAN」本誌に掲載された人気記事をディギンしちゃいます。まぁ……ようはリサイクルってことですが、内容は確かなのでぜひぜひご覧あれ!


風営法改正ロビー活動をきっかけに誕生した「クラブとクラブカルチャーを守る会」(通称CCCC/シーフォー)という団体がある。今年6月には改正風営法も施行され、今のCCCCは、これまでのロビー活動だけではなく、様々なジャンルのDJ 、アーティストが集うという特性を活かした新たな活動にシフトしていくという。そんなわけで、12月3日には全方位型のクラブミュージック・セミナー『PLAYCOOL CAMP WINTER2016 』が開催された。「PLAYCOOL」という名前は、CCCCが現在取り組んでいるクラブにおけるマナー向上キャンペーンから来たもの。こういった活動を、ラッパーであるZeebraとDARTHREIDERがそれぞれ会長、広報/司会進行をやっているということをぜひ知ってもらいたく、warpの20周年特集号で取材することにした。

photo: cherry chill will edit: Toshiya Ohno

 

warp(以下、W ) そもそも「クラブとクラブカルチャーを守る会」の始まりは?

Zeebra(以下、Z ) Let’s DANCE 署名推進委員会の方が署名を集めていて、それがけっこう集まってきた段階のタイミングで、東京の我々はどうするんだ?みたいな話になり。とりあえず勉強会を開こうということで、僕は木村コウくんに誘われて。

DARTHREIDER(以下、D) 僕は斉藤貴弘弁護士に誘われました。

Z 2回勉強会をやった段階で、事業者さんの話を聞かないとわからないねってなって。5~6軒来てもらったんだよね。直接的な意見を聞こうと思って。

D ぶっちゃけ、風営法ってどうですか?って。そもそも変えて欲しいと思っているのか? でも変えて欲しいと思ってる、思ってないに関わらず、国のほうでは、Let’s DANCEの署名運動があって、議連という政治家の集まりもできて、その総会が今度ある。総会で業界からの意見を求めてるんだけど、じゃあクラブの意見って誰が言えるの?って言われたときに、そういったものを代弁できる組織がクラブ業界にはなかった。誰がクラブ業界の話をしに行くんだ?ってなったときに、斉藤弁護士が政治家側から相談を受けて。「どうします?」ってなって。そのときに何か団体を立ち上げて、そこに出席しないと、クラブ側の意見が反映されなくなっちゃうぞって。

Z 署名運動の主たるところが、実はクラブ・ユーザーではなくて、社交ダンス、サルサ・ダンスといった団体で、そこから票が集まってたのね。

D 15万票集まって、そんなに集まるんだったらって、政治家が動いてくれたんです。実際、風営法ってクラブだけじゃない、ダンス業界全体に関わってくる法律だったから。

Z でも、社交ダンスの人たちと違って、クラブには団体がない。下手したら社交ダンス系だけ認められて、クラブは置いてかれるかもしれない。1回ここのタイミングでクラブが置いてかれたら、2度とクラブがOKになることはないだろう。このタイミングしかないから、何とかしようってなって。

D クラブってもともと悪者にされてるし、風営法でどこが問題かっていうと、結局クラブになる。「おまえらのせいでこの運動が大変なんだよ」ってもともと怒られてるようなところに来て、参加しないとなったら、絶対に「あいつらは置いておきましょう」ってなっちゃうから。

Z こりゃマズいぞってことで発足された会。

D それでその次の総会に向けて、50店舗分ぐらいの事業者を集めて、みんなで協力して何かできないかっていう説明会みたいなのをやったり、DJたちを呼んで力を合わせましょうってことをやったり。それで団体である以上、ボスを作らなきゃいけないってことで、とりあえずジブさん(=Zeebra )が初代会長になった。でも結局それが4年続いている(笑)。会長が出て行ってしゃべる場面が必要になってくるだろうってなって。それで僕が広報と司会進行をやりますってなったんですよ。ラッパーは僕とジブさんだけだったから。でもけっこう否定的な意見も多かったんですよ。「そんなことをやっても無駄だ」とか「むしろクラブ側が自分で蒔いた種じゃないか」とか。

Z 「クラブが突然クリーンな振りしても、そんなわけないし」とか。「政治家と一緒に何かするなんて間違ってる」とか。

D 「おまえらは権力側なのか?」とか。

Z そういうのがハンパなくて。だからそこはひとりずつ説明していった感じ。

D ジャンルごとに箱の傾向も違うから、けっこうそこも大変で。異文化交流でしたね。

Z けっこうな批判の嵐の中、会の中にいた我々本人たちは、垣根を越えてクラブシーンの人たちがひとつになってること、その何か奇跡みたいなところにひと筋の光を見出していた。このメンツで何かできなかったら、もう絶対できないよねっていう感じだったから。これが最後の頼みの綱だなと思っていたし。完全にX-MENみたいな気持ちだった(笑)。

D 実際このことをブログで書いてたら、「アベンジャーズみたい」って言われました。

Z それで、これが東京ならまだいいんだけど、地方になるとまた話が違ってきて。大阪は「ダンスの何がいけないんだ?」っていう市民運動的なものだった。我々は行政とか議員さんたちと対話していかなきゃいけないところまで来ているのに、権利ばかり主張してても上手くいかないし。

D 「警察ふざけんな」とか「法律に縛られないぞ」とか「我々は自由だ」って理想の話になると、別に間違ってはいないんだけど、その態度だけだと話も聞いてくれない。そこに至るための経路で、いろんな人と話していかなきゃいけないのに。

Z いきなり100%を求めても無理だから、ゼロか100かだけではなく、何%でもいいから間を埋めてくことをしていったんだよね。

D 最終的には、少しでも変わる中に、自分たちの意見や状況を少しでも反映させれば、それだけでも違う。下手したら、クラブ業界のことなんて一切おかまいなしの法改正になってしまう可能性もあったから。法改正のタイミングで、自分たちの業界の中でルールを作って、その説明を警察にも、政治家にも、住民にもしていかなきゃいけない。商店街の人たちにも会いに行ったし、同時に、身内のシーンの人たちにも毎回説明したんです。それを全国レベルでやらなきゃいけなかった。

Z その中でもいろんなポイントがあって。例えば、面積要件っていうサイズの問題があって。それまではダンスフロアが66平米必要だったのを、それだと小箱ができないから、「面積要件をなくしてくれ」とか話をいろいろやってる中、最終的には半分の33平米になったのね。もちろんそれ以下の小箱の問題もあるんだけど。そういう風に、少しでも良くすることを念頭に置いてた。あとは、クラブは何時までいいのか?という話もあって。それを六本木の商店街の人たちと話すと、東洋英和女学院の学生は六本木駅から学校に行くんだけど、その時間に酔っ払いが声をかけてくる。それだと朝の5時にはクラブを終わらせないとダメだねってなって。そういうことをみんなで話し合うんだけど、4つ打ちの人たちはアフターアワーズもあったりするわけで、「5時に終わるのはなあ…」って。でもそれって酔客の問題だから、「ハードリカーは3時まで」なんて意見も出て、ああでもない、こうでもないっていうのをやってましたね。

D クラブを代表する存在が何もなかったし、事業者も一切まとまってなかった。みなさん、25年間ぐらいみんな一匹狼だから。でも風営法って、営業の法律だから、営業している事業者が出てきて話さないと始まらない。でも事業者にしてみれば、違法営業って言われかねないことをやってるのに、人前に出て行って、「私、クラブやってます」ってなかなか言えない。でも「団体がなかったら、この先変わっても窓口がないところとは話ができないよ」って言われたから、僕らは事業者の人たちに団体を作る呼びかけを同時にやっていった。結果的には、大箱の団体、日本ナイトクラブ協会っていうのと西日本クラブ協会っていうのができて、小箱の団体、音楽バー協会もできた。そうやって、事業者がやらなきゃいけないことは事業者にパスするっていうのを同時にやっていったんです。

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W 清掃活動についても聞きたいんだけど。

Z 最初はどこに行っても、「あなたたちが真面目なのはわかったけど」だけ言われて、あとは門前払いみたいな状態だったから、うちらも何していいのかわからなくなっちゃって。とりあえず、クラブがあることによってどんな問題が起きてるのか? まず、クラブって防音はしっかりしてるわけよ。だけどお客さんは外に出たときに騒ぐし、周りでゴミを捨てる。じゃあ、俺たちがやって誰にも迷惑をかけないこととして、掃除をしようってなって。俺たちのイメージって、自分たちの楽しいことしか考えていない無責任のかたまりみたいな悪者だろうから。だけど、「そんなことないよ、ちゃんと責任感もあって、そこのコミュニティの人たちとも仲良くしようとしているんだよ」っていうのを見せるためにも、始めようってなったのが渋谷の掃除で。マナーを啓蒙するってことはその辺から意識し始めた。それで掃除も朝7時とかじゃなくて、5時に集まって、クラブが終わってお客さんがみんな出てくるところであえて掃除しようって。DJたちも集まって掃除してるから、おまえらも汚すなよっていうメッセージだね。

D ちなみに、去年の年末、アムステルダムのナイトメイヤーが来日するっていうんで、会いに行って。そしたら今年の4月にナイトメイヤー・サミットが行われますと。日本の法改正も決まってたし、ジブさんが渋谷区の観光大使になって、ナイト・アンバサダーっていう肩書きも付いたから、法が変わったっていうことを世界のみんなに、スピーチだけでもいいからさせてくれってネゴシエーションして。僕とジブさんでアムステルダムに行って、ジブさんが英語のスピーチをやって。世界28都市の人たちが集まってたんです。そこにはベルリンのクラブコミッションっていう組織の人たちも参加していて、「僕らも12月にベルリンでやるんだよ」っていう話をしていて。そのときは法改正後だから、「変わった後の話も聞きたいし、参加できるように調整するよ」みたいな話をしてもらって。それで先週、ベルリンにも2人で呼ばれて行きました。そこで話してみると、結局どこの都市も抱えている問題は同じなんです。国際的にそういうのを考えるテーブルが作れるのはいいんじゃないの?っていうのと、実際に法が変わったら、東京の夜の経済、文化を真面目に投資しようっていう人もこれから増えてくるから、そこに対して、クラブシーン側からもコミットできるポジションに自分らがいるのなら、そこは活用しないとって思って。かつアジアからは東京の渋谷のクラブとクラブカルチャーを守る会のメンバーしか参加してないから、そこをこれから広げていくことによって、ひいては日本のシーンにフィードバックになるだろうし。

Z アムステルダムでスピーチをやったときは、ちょうどロンドンで締め付けが厳しくなってたときで、ロンドンの人たちは日本のやり方を学んで、うちらも頑張るみたいになったり。俺らが日本のクラブのためにやってきたことが、他の国にもプラスになる。それが後押しになって、ロンドンは調子良くなってきたんだよね。

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▲12月3日に行われたPLAYCOOL CAMP WINTER 2016の模様。ラップ講座(KIDS 、ADULT、FREESTYLE )、DJビギナー講座、DJ実践講座(ハウス、テクノ、ヒップホップ、EDM)、クラブミュージックの歴史講座(ハウス、テクノ、ヒップホップ、レゲエ)、トラックメイキング講座、トークセッション、パネルディスカッション、楽器メーカーによるデモンストレーションなどなど、興味深いプログラムがたくさんあった。そして講師陣の方も、浅川真次、DJ威蔵、DJ EMMA 、大沢伸一、Q’ HEY、CRAZY-A 、Ken I shii 、木村コウ、Zeebra 、須永辰緒、☆Taku Takahashi 、Darthrei der 、田中知之、D-YAMA 、富家哲、DJ DRAGON 、中川悠介、DJ Maar 、Masta Simon、八幡浩司、DJ YUMMY、You The Rock 、ゆよゆっぺ、Yoke 、REMO-CON 、WASEI CHIKADA、Watus(i COLDFEET)とジャンルを超えたそうそうたるメンバー。

W 今回取材させてもらったPLAYCOOL CAMPはどういうアイデアで始めたものなの?

Z クラブとクラブカルチャーを守る会が解散するしないって話があったんだけど(笑)。もうクラブは守っただろうということで、「クラブカルチャーを守る会」に変わろうかって話があるんですよ。そのカルチャーの部分をクローズアップしたものがPLAYCOOL CAMP。

D DJやラッパーが集まってる割には、だいぶ似合わない仕事をずっとやってきてて。もともと持ってた知識と経験を活かした活動を、本当はしなきゃいけないんじゃないの?っていう発想で。ユーザーの意識向上もそうだし、いろいろテクニックも含め知ってる方がよりクラブを楽しめるはずだから。ヒストリー講座やHOW TO DJをやっていった方が、ユーザーが自分たちのモノとしてクラブカルチャーに参加できるんじゃないかっていう話になって。あとは実際、僕らずっとボランティアでやってきて、持ち出しもあったから、少しでも会の運営資金を正当な形で作るっていう意味もあった。それで、8月にまずやってみて、受講者が面白いと言ってくれる授業もあったので、これはある程度レギュラー化しくべきだっていう話にもなって。冬もやろうってなったんです。

Z あとは、うちらの意識というか、そういうところがわかりやすく説明できる部分でもあるかな。「真面目なクラブなんて面白くない」って言ってくる人たちもいる中で、歴史ややり方を教えたりするのは、カルチャーの一部分でもあるし、スゴく真面目なことだけど、それに対して文句を言うヤツはいないだろうっていう部分で。今まで日本にはカンファレンスもなかったし、日本人はどこかに出て行って意見を言うのがあまり得意じゃない民族だとは思うんだけど、こういうことをやっていかないで適当に放っておくと、いつかグチャっとなるかもしれないから。

D これは僕たちもやってて面白いから。クラブとクラブカルチャーを守る会ができたことで、いろんなDJやいろんなジャンルの人が交流できるきっかけができた。こういう場があることで、次のアイデアやクリエイティブが出てくるんじゃないかな。相互作用を起こり得る場を作り続けていくことはけっこう大事だと思う。実際、DJ EMMAさんのプレイでジブさんがマイクを握るなんてけっこう面白いですから。なるべくいろんな人が参加できるようにしていきたいし。そういうのを若い子にも見て欲しいし、楽しんで欲しい。

Z 今まで培ってきたものを次に受け継ぎたいっていうのがスゴくデカい。そこにはいろんなヒントがあるから、そういうのをどんどん伝えていきたい。そこが1番のポイントかな。

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左から、Zeebra 、DARTHREIDER 。warpが創刊した20年前、Zeebraは、「T.O.P.RANKAZで「Inner City Groove」を作って。UBG(Urbarian Gym)ができた年。DJプレミアとやった曲もリリースされた。日本語ラップがひとつのブームを迎えた年ですね。1番キラキラしてたかもしれないなあ」とのこと。DARTHREIDERのほうは「ラッパーになったのが20年前。Zeebra 、Mummy-Dの「末期症状」の歌詞を書き取って、インストに合わせて自分で歌ってみるっていう。余裕だと思ったら、Mummy-D難しいみたいな(笑)。20年前のさんピンCAMPには行ってるんですけど、7月7日には僕はまだ日本語ラップファンではなかったんです」とのこと。

Zeebra
zeebra.amebaownd.com

DARTHREIDER
ameblo.jp/darthreider

クラブとクラブカルチャーを守る会
clubccc.org

PLAYCOOL CAMP
www.playcoolcamp.com

 ※本ページは『warp MAGAZINE JAPAN』20周年記念号に掲載された情報を再編集したものです。

http://www.warpweb.jp/feature/feature.html