繕い裁つ人

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02/13 12:17 UP DATE

池田 優東京生まれ。アパレル業界に旋風を起こすべく日々奮闘している社会人。

巷で話題の”繕い裁つ人”を観てきました。

同業界で働いているからか、考えさせられる場面や色々と想うところが沢山ありました。

 

 

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©2015 池辺葵/講談社・「繕い裁つ人」製作委員会

 

『繕い裁つ人』(104分/日本/2015年)
公開:2015年1月31日
配給:ギャガ
劇場:新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて順次公開
原作:池辺葵
監督:三島有紀子
脚本:林民夫
出演:中谷美紀三浦貴大片桐はいり黒木華杉咲花中尾ミエ伊武雅刀余貴美子

 

繕い裁つ人 予告編

 

池谷葵さんの人気コミックを実写映画化した作品です。

今回メガホンを取ったのは「しあわせのパン」の三島有紀子監督。

小店舗や自営業者などの市井の人々の生活を描くのがずば抜けて上手い監督さんです。

 

あらすじは、以下の抜粋をどうぞ。

神戸の街を見渡す坂を上ると、その店はあった。 「南洋裁店」という小さな看板が掛けられた、古びた洋風の一軒家。 昔ながらの職人スタイルを貫く手作り一点ものの店は、日々来客で大賑わい。 神戸のデパートに勤める藤井は、市江にブランド化の話を持ち掛けるが、 まるで“頑固じじい”のような彼女は、全く興味を示さない。 祖母で一代目が作った服の仕立て直しとサイズ直し、 あとは先代のデザインを流用した新作を少しだけ、 市江はそれで満足だった。 「一生、着続けられる服を──」 南洋裁店の服は、世界で一着だけの一生もの── それが市江の繕い裁つ服が愛される、潔くも清い秘密だった。 だが、自分がデザインしたドレスを作りたいはずだという藤井の言葉に、 生まれて初めて市江の心は揺れ動く──。

 

 

 

本作は、職人の生き方を描きながら、1着の服を大切に着るという「スローなライフスタイル」の良さを暗に訴えていて、これが根底にある強いメッセージであると自分は受け止めました。

古き良き物を未来に繋いでいく事は本当に大切だと思う。

黒船の如く現れたファストファッションによって大きく変わったアパレルの世界だけでなく、私たちは昨今、様々な時、色んな場面で伝統や文化を蔑ろにしがちだから。

 

私たちは生まれて死ぬまでずっと服を着ます。着る事はもはや人生と言えるのかもしれません。

「共に生きていく服」もあるんだということに、気づかせてくれるきっかけをこの映画から貰いました。

 

そして、テーラー(ドレスメーカー)と呼ばれる仕立て屋がその胸に秘めている洋服への情熱、モノ作りへのこだわりを、演技を通して観る者にしっかりと伝えてくれた市枝役には感動の一言。さすが中谷美紀です。

「着る人の顔が見えない洋服なんて作れない。」

「人生に寄り添った1着を。」

本物志向の時代だからこそ、こうした言葉を忘れずマーチャンダイジングしていく事が必要なんだと再認識しました。

 

 

きっと「繕う」とは、単に洋服を縫うことだけでなく、時流に依って分たってしまった人々の絆を洋服を通じて結び直すという意味が込められているんでしょう。

それだけの力が、服(ファッション)にはあるんだと思うと、すごく晴れやかな気分になりました。

 

断捨離といって、すぐに洋服を売ったり捨てることに何の抵抗も無くなっている時代だからこそ、本当に大切なことを思い出させてくれるような、とても心温まる素敵な作品です!

 

 

http://www.warpweb.jp/feature/feature.html