アナログとデジタルとアナタルとデジログと。

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05/29 22:57 UP DATE

GAMEBOYFarmer / Music Producer / DJ https://soundcloud.com/kriff-2

だれもが体の一部の如くスマホを持っていて

それ単体で音源購入、再生まで出来てしまえる便利なご時世

体にネット環境が張り付いてるというのはもはや比喩表現にもならないですね

 

iTunesやAmazonに限らず

「ねえあの曲ってどんなだったっけ?」「おk、いまyoutubeで調べるわー」

みたいに動画配信サイトが定着したのもより音楽を身近にした要素のひとつといえるのではないでしょうか

 

特に僕なんかはその恩恵を多いに受けてるといえます

 

 

その一方で最近アナログレコードの市場が盛り上がりを見せているという記事をよく見ます

 

世界の音楽業界団体を代表する国際レコード産業連盟が発表した2014年度の

アナログレコード売り上げデータをみてみると、

世界の総売上が前年度より54%増加したそうです

一番売り上げが多い国がアメリカ、日本も4位となかなかの盛り上がりぶりです

 

 

 僕自身はというと

普段はパソコン上のデジタル音源を専用のソフト、コントローラーで操作する、

いわゆるPCDJという部類なのでアナログレコードは曲制作のためのサンプリングでしか使いません

 

ただ、いろんなクラブの現場を経験した中で

レコードの魅力を感じる場面を何度もみているので

今のアナログ人気復活の理由が本当によくわかります

実際僕が自身の名前に「DJ〜」とつけないのはレコードを扱う現場のDJさん達に敬意を込めるためです

 

 

さて、今回僕がいままでに感じたアナログレコードの魅力を語ることはできても

やはり普段DJの現場で扱わない以上偉そうなことはいえないし

PCDJの立場から改めてアナログレコードについて考えてみる必要があると思うのです

 

 

というワケで早速レコード店にいってみました

 

 

 

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今回お邪魔したのがこちらのRecord mann goodというお店

 地元では”レコマン”という愛称でよばれています

 

 

 

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扉をあけると味わいのある木目のボックスに敷き詰められたレコードの数々

 

 

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ビニールと紙が入り混じったジャケットの束が生み出すこのラインもレコード屋ならではですね

 

 

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 良い掘り出し物を思わせるいいカンジにしわのついた7インチの紙ジャケ達

 

 

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レコード群から目線をあげるとキューバの粋なガレージのような内観を見渡せます

 

 

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ワインレッドのクラシカルな革張りの椅子に腰掛けながら試聴できるスペース

 

 

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 カウンターではアルコールやソフトドリンクも扱っています

さらにはお店オリジナルの食事メニューもあるのですが、

 

 

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このオリジナルチーズホットドッグがあなどれず絶品!

 

あつあつに焼かれた外カリ中ふわのパンズ

それに挟まれる肉汁たっぷりのソーセージ

極めつけはとろとろに溶かされたチーズの存在感

美味くないワケがありません

パンズは地元のパン屋さんと試行錯誤して作った専用のものだそう

 

 

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お店オリジナルグッズも扱っており

 

 

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写真ではわかりづらいですがネイビー(前)とブラック(奥)のOTTOキャップも置いてます

ワッペンがシンプルでデザインもいいかんじ

スナップバックの部分にもさりげない加工が施してあり、実にセンスを感じる一品

 

 

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 レコードの他にもCDも置いてあります

一体どうやって見つけてきたのかと思うほどのマニアックなチョイスがあったり

レコードのみを漁るにはもったいない品揃え

 

 

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LASONICのラジカセをみつけてしまいました

この80年代の香り漂うレトロ感がたまりません

 

LASONICはアメリカを代表する老舗ラジカセブランドで

現在もこの形を継承したデザインにBluetoothやUSBメモリに対応した変わり種モデルを売り出しており

なかなかに男気を感じさせます

この泥臭さはこの先も絶対になくしてほしくないですね

 

 

 

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こちらはお店のオーナーさん

なんと尺八をたしなんでいるそうで

写真掲載許可をいただいた上で実際に音を出していただきました

日本人の遺伝子に根付いたツボがあるせいか、胸に”くる”ものがあります

 

それにしてもターンテーブルの目の前でキャップを被った若者が尺八を吹くというこの光景

思えば尺八もきっとアメリカでいうところのサックスの類いに位置し

本来であれば和琴、神楽笛などの和楽器もサックスやギターのように

ストリートカルチャーに密接に絡んでいて当然であり

 

ラップやグラフィティのようにスキルを競い合うアンダーグラウンドな育ち方でもできたら

それはそれでかなりおもしろいのではないでしょうか

 

新しく買ったスケボーを自慢するような感覚で

新しく買った尺八に仲間同士で一喜一憂し合うストリートの光景

けん玉がKENDAMAになったようにいつかそんな日がくるかもしれません、たぶん

 

 

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ところで、

デジタル音源に大変お世話になってるぼくがレコード屋にきたからには

やはりアナログとデジタルについて話さなければなりません

 

よくネットで「アナログVSデジタル」みたいな記事を度々見かけます

あんまり専門的な話はなるべく割愛したいのですが、

 

世間一般的思考でいえば単純にデジタルの方が音質が良いイメージかもしれません

しかし原曲そのものを100%とするなら

デジタルはおよそ90%の音しか再現できないのです

それはアナログレコードが生むノイズ解消、コスト削減、扱いやすさなど、音質以外の理由が大きいそうです

 

それでもその残りの10%の音は人間が聞き取ることのできない範囲の音を削っているので

普通の人にはアナログとデジタルを聞き分けるのは難しいようです

正直ぼくも聞き分ける自信はありません

 

 

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ただ、こんな僕でもある条件下でアナログ音源を聴いた時

「あっ、これが100%なのか!」っと実感した瞬間がありました

それは、大きな室内会場とデカいスピーカーを兼ね備えた環境にいた時でした

 

具体的にどういう風に聞こえたかといわれれば説明ができないのですが

最近の研究の結果では、人間がその音を聴いて感覚的に気持ちいいと思える周波数、

いわゆる美味しい部分が20Hz以上の領域の中に隠されているらしく

デジタルはまさにその20Hz以上を削ぎ取っているのです

 

もしかしたらその周波数の領域を無意識に感じたのかもしれません

実際アナログの音の良さに惹かれて今もアナログにこだわる人は数多くいるし

現にぼく自身もアナログの音にはかなわないと思っているワケですからね

 

 

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しかし、だからといってよくネットで論争される、

デジタルがアナログ文化を脅かしている。デジタルは滅ぶべきだ」

という意見には少し疑問をもちます

日本ではあまりこういう批判をボリュームマックスで言う人は滅多にいませんが

デジタル技術の利点をアナログ文化の衰退を理由に否定するというのはあまりにも乱暴な気がします

 

mp3プレーヤーなど手軽に音楽を持ち運び、どこでも流せ、

何より誰でも楽しめるというのは一つの功績といえるだろうし

音楽が日常生活に溶け込みやすい現在はむしろ歓迎すべきです

 

音が良い悪いの話は仕事にしている人や相当音にこだわっている人の議論であり

純粋に娯楽として楽しんでいる人を巻き込むべきではありません

 

そもそもデジタルというのは、本来アナログの欠点を補うために生まれたもののはずで

アナログと対極にある存在という考え方はすこし違うのではないでしょうか

 

 

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今はパソコンとコントローラーがあれば誰でも簡単にDJが楽しめます

もっと言えばスマホさえあればプレイできてしまいます

アナログレコードに必要だった、曲と曲を繋げるテンポ合わせの作業技術が必要ないからです

 

もちろんデジタル技術に甘えすぎて個性を持たないDJが増えたのは否定はしません

機能のほとんどに頼って現場でDJをする人も何人かみた事があります

 遊びとしては全然良いと思いますが、

報酬をもらってプレイは全て機能に頼るというのはさすがに違和感をおぼえます

たまに海外のスター級の有名DJが

自動でテンポを合わせる機能をライブで使ってネット炎上することがありますが。

 

ちなみにぼくはぜったいにその機能はつかいません

ある種のポリシーというかDJという職業に対するリスペクトというか。

でもなんだかんだ言ってもその辺は”人それぞれの考え”という言葉に落ち着いちゃいますけどね

 

 

 

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結局いろいろ言いましたが

やはり僕はアナログの色をデジタルで100%表現しきるのは難しいとおもってます

 

 

山のようにあるレコードの中から宝探しの如く一枚の黒い円盤を掘りだし

プレーヤーに乗せ、慎重に針を溝に落とし込み、再生ボタンを押す

どこか小気味好いノイズの後に流れ出す黒人の図太い声と揺らぎの感じるギター

 

この儀式ともいうべき一連の作業はPCDJでは絶対になし得ない泥臭さを生み

ターンテーブルのモーターがその瞬間限りの音の揺らぎを引き出す

この緊張感と空気こそがアナログレコード最大の魅力であり

今のこのレコードリバイバルを現代にもたらした要因なのではないでしょうか

 

それは実際に聴いたこともない尺八の音を目の前で聴き、

演奏者とその雰囲気に感動する瞬間に丁度似ているはずです

 

魅力に気づくには実際に目や耳、肌で感じる必要があり、

人から教わる情報ではあまりにも少なすぎるのです

 

 

 

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ぼくも実際にこのお店を訪れてみて、改めてアナログの素晴らしさを再確認できました

 

きっとこれからもいろんな人がここを訪れレコードの泥臭さに魅せられるはず

 

 

 

 

と、思っていたのですが

実はこのお店は今年5月いっぱいをもってクローズするという大変残念なお話を聞きました

 

そのニュースに悲鳴といえるべき数多くの残念な声が上がっており

このお店を愛していたお客さんがこれほどまでに多いということを知り

改めて残念だという気持ちと、もっと早くこのお店に出会っていればという思いを拭いきれません

 

じつは先日こちらのお店で最後の音楽イベントがあり、ぼくも客としてお邪魔させてもらっていました

お店のクローズを惜しむ人、最後のイベントを噛み締めるように楽しむ人など

実に多くの地元ファンがお店を訪れ、それぞれの思い出を語り合っていました

 

 

イベントの後半ではオーナー自らがDJをし、寂しいというよりはとても楽しんでいる様子が印象的でした

 

 

 

お店がなくなっても面白いことはこれからもまだまだ続いてく、そんな顔

 

 

 

 

 

 

 

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http://www.warpweb.jp/feature/feature.html